配置基準の計算方法
看護師の配置基準は、入院患者に対して必要な看護師の数を示した数字となり、病棟の種類によってその割合は変わります。「7対1」だけではなく、「10対1」「15対1」「20対1」など様々です。医療必要度が高い病棟ほど多くの看護師が必要とされる傾向があります。ここでは、この配置基準の計算方法について詳しく紹介していきます。
まずは必要人数を計算しよう
20対1の配置基準となる療養病棟を例にしてみていきましょう。この病棟は100床で満床だったとします。このときに何人の看護師が必要になるかを考えた場合、20対1なので単純に100÷20で5人と考える方が多いかもしれません。しかしこれは間違いです。この100人の入院患者は一日中病院にいますが、看護師は勤務時間しか病院にいません。もし5人だった場合、この5人の看護師は24時間ずっと働き続けなければなりません。つまり、必要な配置数を考える場合には24時間の中で何人の看護師が必要なのかを計算しなければならないのです。看護師の勤務時間が8時間だとして、24時間÷8時間で3人の看護師が必要となります。さらに、これを踏まえたうえで配置基準を考えると、3×必要な看護師の配置数、という計算になります。3(24時間のうちに必要な看護師の数)×5(100床で20対1の配置基準に沿う看護師の数)=15人、ということになるので、この病棟では最低でも15人の看護師が必要になるということです。
勤務時間数も重要
上記で説明したケースでは15人の看護師が必要ということになりましたが、この在籍人数と同時に勤務時間数も満たさなければなりません。勤務時間数とは言葉の通り出勤から退勤までの時間のことです。病棟で働く看護師の1か月の勤務時間をすべて合計したものを月延べ勤務時間数と呼び、これを今回の100床20対1のケースに当てはめると、8時間×必要な看護師の数×月日数という計算式なので、8時間×15人×31日で3720時間の月延べ勤務時間数が必要ということになります。
15人の看護師が全員8時間勤務だった場合は問題ありませんが、実際には時短勤務や限られた勤務日数のパート看護師などもいるでしょう。その場合、15人では足りません。また、急に誰かが休みとなった場合に基準を満たすことができなくなってしまいます。看護師は女性が多く、家庭の都合などで急な休みが必要になったり、働ける時間が限られるケースが多いです。加えて最低限の人員配置だと長期休暇を取ることができません。そのため、実際にはもう少し余裕を持った人員の確保が必要だと言えます。
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