配置人数で入院基本料が変わる
2018年に行われた診療報酬改定において、一般病棟入院基本料の再編が行われました。一般病棟入院基本料とは、看護師の人員配置を基準に計算される入院基本料のことです。この入院基本料についてより詳しく、そして今回の改定でどのような影響を受けたのかについて紹介していきます。
入院基本料について
入院基本料は看護師の人数によって算定できる点数が変化します。そのなかで最も高い点数を得られるのが7対1の配置基準を満たしている場合です。患者7人に対して1人の看護師が働いている病院は「7対1入院基本料」を算定できます。従来の入院基本料は、重症患者を診るために必要となる看護師を適切な人数で配置している対価として設定されるという考え方でした。しかし実際の医療現場では、軽症な入院患者が多いにも関わらず看護師の数が多いので入院基本料が高く算定されているという問題がありました。特に7対1入院基本料に関しては実情の精査が必要であるとされ、中央社会保険医療協議会で何度も審議されてきました。そしてこの診療報酬が適切に支払われていないかもしれないという疑問が、今回の改定内容につながったのです。
算定方法
今回の改定で出てきたのは、急性期一般入院料についてです。入院患者の重症度をみて病院の評価を行い、その対価として段階的に入院基本料を算定するというものです。重症度はA・B・Cの3つの項目をそれぞれ数値化して評価していきます。Aは「モニタリング及び処置の有無」、Bは「患者の状況」、Cは「手術などの医学的状況」です。一番入院料が高くなる「入院料1」のケースだと、看護配置は7対1、看護必要度が30%、点数が1,591点となります。
これまでと違い患者の重症度に評価基準を定めた制度になったほか、7対1あるいは10対1の入院基本料が細分化されたため、病院経営にも影響が及ぶことが考えられます。7対1の配置基準を満たすのは難しいが重症患者を多く受け入れている病院は収入増加が見込めます。逆に、7対1を満たしているが軽症患者の受け入れが多いという病院は収入が減ることになるでしょう。
今後は「実績」で評価されていく
今回の改定には、病院の機能を看護師の数などからみた「構造」で考えるのではなく、受け入れている患者の重症度などからみる「実績」を評価し、診療報酬につなげようという意図があります。とはいえ人員体制の概念は残されており、上記で紹介した急性期一般入院料1では今まで通り7対1の看護師配置が基準として定められています。今回の再編内容が評価されるのにはまだ時間がかかりそうですが、入院基本料は病院収入の柱となる部分ですので今後も注目していきたいところです。
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